平成27年度予算への意見表明

平成27年度一般会計予算に反対、その他の5件の予算に賛成の立場で、意見を申し上げます。

私は、議員活動を行う上での考えの基礎として、身近な「地区」を徹底的に重視していくこと、そしてもう一つは「信頼」という言葉を大切にしています。いくら、お金をかけ、人も配置し、仕組みを整えても、区民相互の信頼、そして区民と行政との信頼関係が無くては、物事は立ち行かないのです。そのことを私は、この予算議会を通じて痛感いたしました。

私は、予算案で区が提案している『子育て支援児童館構想』について、反対いたします。この「子育て支援児童館」は、子育て支援の充実に向け、現在全区に25ある児童館の内、各総合支所単位で1館ずつを「子育て支援児童館」として「子育てひろば」や「子育て講座」を拡充していく、というものです。私は、この構想に疑問を持ちます。現在、すべての「児童館」で子育て広場が開設され、ベビーカーで行ける「身近な」交流・子育て相談の場として多くの親子で賑わっているからです。

しかし、今回、区は、各地域に1箇所ずつ、「子育て支援館」を作ろうとしているのです。全く理解できません。奥沢在住の親子は、3つの児童館の前を通りすぎ、片道直線で6キロの道のりを越えて、「上用賀子育て支援児童館」にたどり着くのです。

議会で質問したところ、区長は、「ベビーカーを押して、目の前の児童館を素通りしていかねばならないということが起きないよう、注意して進めていく」と答えました。しかし、担当部長は「子育て親子に愛着を持って利用していただくために子育て支援館に愛称をつける」とまで答弁したのです。一体全体、区は、何を考えているのでしょうか。

担当課長に伺うと、「一度は、支援館に行くかもしれないが、結局は、地元の児童館に戻ってくるから問題ない」と言われたのです。区の施策に全く信頼が持てません。

愛称を付けられた「子育て支援館」という聞こえの良い言葉を、区民はどう思うでしょうか。普通の児童館よりも、「子育て支援館」の方が子育てサービスが充実していると思うのが当然でしょう。

区は、「子育て支援館」以外の児童館でも、今までどおり子育て支援に取り組むといいますが、子育てに不安を抱く区民は、必死の思いで、身近な「児童館」ではなく、遠くの「子育て支援館」を目指すのでないでしょうか。実際に、区が誘導するわけですから。

この「子育て支援館」にかかる経費は、担当部長は、「人件費を除き、5館で20万円」と答弁されました。しかし、その人件費そのものが5館で2300万円にもなるのですが、担当部は今に至るもその数字を明らかにしていません。この人の配置そのものが、支援館の柱であるのにです。

区長は、答弁で「この仕組みを全区全館に広げていく」とされましたが、担当部長は、答弁で「全館に再任用職員を配置することは考えていない」といったのです。では一体、区長の言う「全区全館に広げていく」ということは何をさしているか、という質問にも、一切答えがありません。

さらに、「子育て支援館」が、課題を抱える子どもや家庭の事例を共有し地域の子育て支援のネットワークを広げる、ということにも、大いに疑問があります。地区の児童館の子育て機能の支援は、総合支所にある「子ども家庭支援センター」が担うべきです。副区長は答弁で、「縦割りを持ち込まない」と言われましたが、地域の中に、「子ども家庭支援センター」と「子育て支援児童館」という2つの仕組みができてしまい、それぞれ別々に、人材を投入しようとしているのです。

担当部長は、「この2つの機能を適切に役割分担させ、連携させる」と言いますが、役割分担すればするほど責任の所在が曖昧となり、現場、区民の混乱を招くこととなります。担当課長に、連携・連携というと、会議が増えるだけではないか、と聞くと、「会議は増やしません」とのことで、では一体どのようにしようとしているのか、不明です。

子ども若者部自身が、「子育て家庭にとって、自らのニーズを把握し、多様な施設や事業などの中からどれを利用するのが適当なのか自ら判断することが容易ではない」と問題提起をしているのですよ。それなのに、地域の中に、「子育て支援館」という別の組織をつくり、遠くからも通わせようとする、全く、とんでもないことです。

子育て親子のために区がなすべきことは、「とにかく身近な児童館に親子で遊びにきてください」または「心配があれば地区のあんしんすこやかセンターの窓口に相談にきてください」と徹底的に言うことです。このようにワンストップサービスを徹底し、そのバックアップ体制を、支所の「子ども家庭支援センター」が担うべきなのです。

児童館の子育て機能を強化するためには、「子ども家庭支援センター」の体制を強化し、巡回指導・支援が出来るような体制を築くことが有効であり、そのための予算措置を行うべきです。具体的には、「子育て支援館」に配置しようとしている5人の職員を「子ども家庭支援センター」に配属し、新たに「子ども家庭支援センター」に配属しようとしている10人とあわせ、この15人を総合的に活用していく、ということを提案いたしました。

しかし、答弁では、「今後、子ども家庭支援センター、身近な児童館、子育て広場、保育園など地域の子育て支援を担う資源をどのように組み立てていくかについて、切れ目の無いサポート体制の検討会の場などで検討していく」と言われたのです。

全く、不信感を持たざるを得ません。そのような「本来の検討」を行ってから、様々な施策が出てくるはずであるのに、「今後、検討していく」とのこと。逆です。

伺いましたら、この「子育て支援館」の構想は、職員からの提案で是非とも実現したいとの事ですが、そうであればなおのこと、管理監督者としての責任放棄です。子育て親子のことを考えていません。

私は、これまでの議員活動で幾たびか、結果的に大きな決断をいたしました。ある年の決算認定においては、所属していた会派の結論とは異なり、決算に賛成し、また、基本構想の議決においては、連携していた会派との連携を解消して、基本構想に賛成いたしました。それぞれの会派にはご迷惑をお掛けし、申し訳ないとも思いましたが、区民から信託を頂いている議員としての決断でありました。

それと共に、その決断の裏には、区への信頼がありました。多様な価値観、意見がある中で、区は、様々な調整に努力され、その結果は間違いないもの、その時々の状況のなかで、妥当であるもの、これを押し進めようとしているに違いない、という信頼感です。

しかし、今回は違います。全く信頼できません。

地域社会というものは、ガラス細工のようなもので、ほんのちょっとのことでバラバラになってしまうのです。

そのことについて、現在の区は、全く無神経です。

区民は、区役所を信頼しているのです。ですから、子育て支援館ができれば、なんとか、そこへ行こうとするのです。私は、4月以降、若い母親が、ベビーバギーに子どもを乗せ、大きな荷物を背負い、近くの児童館の前を通り過ぎ、遠くの子育て支援館を目指して歩いていく、という姿を想像するたびに、胸が痛みます。

これが、「子どもが輝く参加と協働のまち」を標榜する、世田谷区のやることでしょうか。あまりにも情けないことです。

予算上では、子ども若者部は20万円といわれ、実際には、およそ7千万円となる数字は、一般会計2千7百億円からは、微々たるものでしかない、という見方もあるでしょう。しかし、その本質はとても大きいものと認識し、27年度一般会計予算に反対いたします。

2015.3.27 小泉たま子